♦introduction♦

喜劇を作る上で頼りにするのは、
自分が何を面白いと思うのか、という感覚です。
僕はマゾヒストなので、やっぱり市井の人が追い詰められ、
その状況をなんとか打開しようとすることに、面白さを感じるのです。
だったら、自分がされてゾクゾクすることは何だろうと考えました。
まずは、身体的な自由を奪われたい。じゃあ、ロープで縛ろう。
次に、精神的自由を奪われたい。だったら、倉庫に閉じ込めよう。
ここまで来たら、後は登場人物たちをとことん追い詰めていくだけ。
どうせなら、ロープで縛るのは14人全員。
これで個々が動くには、全員が同意をしなくては動けなくなりました。
倉庫にいられるのも90分。
これで、一刻も早く脱出しなくてはいけなくなりました。
こうして、マゾヒストによる最もサディスティックな喜劇、
「ROPE」は生まれたのです。
14人が倉庫を脱出する姿を描くだけのハラハラドキドキの90分。
これこそが、僕が今面白いと思う喜劇なのです。

作・演出 早川康介